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第3回:マイナンバー10月までに会社がすべきこと(その1)

「マイナンバー」制度の導入まで、半年弱となりました。

内閣府のCMをはじめ、色々な場面で「マイナンバー」の文言を目にする機会が多くなってきていますが、言葉ばかりが先行し、「マイナンバー」制度の詳細まで把握している方は少ないのではないでしょうか。

利用する場面が多くなる企業でさえも、この詳細を把握し、制度導入までの対策をとっている会社は少ないと推察されます。そこで、制度が導入されるまでの間、定期的に当ブログからも情報発信をしていきたいと思います。

この「マイナンバー制度」は、実務の現場に大きく影響してくるであろう制度です。対策が後手にまわり、制度導入後に慌てぬよう、特に企業の方々においてご参考いただければ幸いです。

第3回目は、“マイナンバー”が通知される10月までに会社がすべきこと(その1)について確認しましょう。

前回は、マイナンバーを利用する3場面について概要を確認しました。
確認の意味で、ここに再度掲載をしたいと思います。

(ア) 社会保障、(イ)税、(ウ)災害対策

・・・の3つの場面でした。

これを踏まえて、今回は、企業が頻繁にマイナンバーを取り扱う(ア)社会保障、(イ)税の分野で、どのように利用していくのかを確認していきましょう。

マイナンバーを利用し始めるのは、2016年1月以降からの行政への社会保障関係の事務手続きです。マイナンバー制度導入に伴い、社会保険や雇用保険に係る届出様式の変更も予定されていますので、会社はこの様式変更に対応しておく必要があります。ちなみに、会社が手続きしなければならない主要な届出のうち、現時点で様式変更が予定されているのは、次の通りです。

雇用保険
  • 資格取得届
  • 資格喪失届・氏名変更届
  • 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付申請書
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
  • 介護休業給付金支給申請書
社会保険
  • 資格取得届
  • 資格喪失届
  • 70歳以上被用者該当届
  • 70歳以上被用者不該当届
  • 報酬月額算定基礎届
  • 70歳以上被用者算定基礎届
  • 報酬月額変更届
  • 70歳以上被用者月額変更届
  • 賞与支払届
  • 70歳以上被用者賞与支払届
  • 健康保険被扶養者(異動)届/国民年金第3号被保険者関係届
  • 産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届
  • 産前産後休業終了時報酬月額変更届
  • 70歳以上被用者産前産後休業終了時報酬月額相当額変更届
  • 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届
  • 育児休業等終了時報酬月額変更届
  • 70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相当額変更届
  • 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届
  • 厚生年金被保険者種別変更届
  • 療養費申請
  • 傷病手当金申請
  • 埋葬料、埋葬費(家族埋葬料)申請
  • 出産育児一時金申請
  • 出産手当金支給申請
  • 限度額適用認定申請
  • 高額療養費申請         ・・・他。

すなわち、これらの届出事務や申請をするときは、会社(あるいは従業員本人)は、マイナンバーを記載する必要が出てきます。注意すべきは、これらの事務手続にあたり、会社は単にマイナンバーを従業員から聞いて記載すれば良い!という単純なものではありません。

マイナンバーには、利用、提供、収集の制限があります。〔出所〕内閣官房・内閣府・特定帆人情報保護委員会・総務省・国税庁・厚生労働省「マイナンバー社会保障・税番号制度 民間事業者の対応(平成27年2月版)」(24頁)より抜粋

第2回で確認した通り、マイナンバーは、利用する場面について法律で限定的に縛りを設けています。会社は、法律で認められている場合を除いて、会社はマイナンバーの提供・利用はできません。
そして、このマイナンバーを従業員から取得する場合、法律上OKとされている利用目的を明確にし、会社はそれを通知又は公表しなければならないことになっています。

しかし事務手続きをする都度、通知・公表していたのでは会社の事務手続きが滞ってしまいますね。そこで、最初の段階で想定できる、健康保険・厚生年金の届出事務手続をはじめ、雇用保険の届出事務、所得税に係る源泉徴収事務といった複数の利用目的をあらかじめ包括的に示して通知することは認められています。
他方で、従業員への通知又は公表をした後に、ここに記載されていない別の利用目的を後から追加することは認められません。この場合は、改めて利用目的を作成し直して通知・公表することになるので注意しましょう。

具体的な利用目的の通知・公表の方法ですが、利用目的の通知文書の交付や就業規則への明記が考えられます。就業規則は従業員全員に周知していることから、就業規則にこれらを盛り込むことが現実的な対応と言えると思います。

Q4-2-4 源泉徴収のために取得した従業員のマイナンバー(個人番号)を社会保険の手続に利用するなど、ある個人番号関係事務のために取得した特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)を別の個人番号関係事務に利用することはできますか?

A4-2-4 マイナンバーを含む特定個人情報については、番号法第29条第3項により読み替えられた個人情報保護法第16条が適用されるため、本人の同意の有無にかかわらず、利用目的の達成に必要な範囲を超えて利用することはできません。このため、源泉徴収のために取得したマイナンバーは源泉徴収に関する事務に必要な限度でのみ利用が可能です。なお、[Q4-2-3-1]のとおり、従業員からマイナンバーを取得する際に、源泉徴収や健康保険の手続きなど、マイナンバーを利用する事務・利用目的を包括的に明示して取得し、利用することは差し支えありません。(2014年7月更新)

〔出典〕内閣官房(マイナンバー 社会保障・税番号制度)よくある質問(FAQ)

最後に、今回のポイントを総括します。

あらかじめ利用目的を想定し、包括的に示すことが肝要です。そのためには、社会保障・税に関する事務手続きにおいて、従業員からマイナンバーの提供をどのような場面で受ける必要があるのかを洗い出し、列挙しておく必要があります。

なぜなら、先に触れた通り、安易に通知文書や就業規則に規定をしてしまうと、利用目的に漏れがあった場合は、改めて作成し直す必要が生じ煩雑になるからです。

まずは、番号通知がなされる今年の10月までを目処に、行政から公開されている資料を通じて、利用目的の場面を想定した洗い出し作業を完成しておくようにしましょう。

特定社会保険労務士。専門分野は人事・労務。 〔事務所〕SRC・総合労務センター

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