厚生労働省より、8月25日付で、「雇用調整助成金」と「緊急雇用安定助成金」(以下、本稿では両助成金のことを単に「助成金」とします)の申請期限の延長について発表されました。今回は、この点についてお知らせしたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主に対する雇用調整助成金等の申請期限を延長しました〔厚生労働省リーフレット〕2020年8月25日付。
判定基礎期間について
まずこれを理解するためには、「判定基礎期間」について知っておく必要があります。と言っても、そんなに難しいものではありません。判定基礎期間とは、「1か月ごとに区切った休業期間」と考えておけばよいでしょう。これは各会社で設定されている給与締切日に対応しています。例えば、末日締・翌月10日支給の会社の場合、判定基礎期間は次のように区切られます。
- 4月1日~4月30日
- 5月1日~5月31日
- 6月1日~6月30日・・・続く
助成金の世界では、これらの各期間のことを「判定基礎期間」と呼んでいる訳です。
判定基礎期間の初日がいつか?がポイント
この助成金の申請期限は、本来であれば「判定基礎期間の末日の翌日から起算して2か月以内」です。先で示した具体例で考えると、次のようになります。
- 4月1日~4月30日→5月1日~6月30日まで。
- 5月1日~5月31日→6月1日~7月31日まで。
- 6月1日~6月30日→7月1日~8月31日まで。
ところが、ご承知のとおり、新型コロナウイルスは、私たちに急転直下で大きな影響を与えました。これを踏まえ、国は、「判定基礎期間の初日」が「令和2年1月24日(緊急雇用安定助成金は4月1日)から5月31日の期間内にある場合」は、特例措置として、「令和2年8月31日までの申請でOK!」としていました。なので、こうなります。
- 4月1日~4月30日→5月1日~6月30日まで。※特例:8月31日まで
- 5月1日~5月31日→6月1日~7月31日まで。※特例:8月31日まで
- 6月1日~6月30日→7月1日~8月31日まで。
今回の延長はここからさらに!
つまり、令和2年5月31日以前の休業等の申請期限は、8月末がデッドラインだった訳です。
そこで今回は新たに、「判定基礎期間の初日が令和2年1月24日(緊急雇用安定助成金は4月1日)から6月30日の期間内にある場合」は、特例措置として、令和2年9月30日までの申請でOKですよ!と変更されました。なので、こうなりました。
- 4月1日~4月30日→5月1日~6月30日まで。※特例:9月30日まで
- 5月1日~5月31日→6月1日~7月31日まで。※特例:9月30日まで
- 6月1日~6月30日→7月1日~8月31日まで。※特例:9月30日まで
おわりに
これまで助成金に係る申請のルールが幾度となく変更され、最終的にこのルールが落ち着いたのが6月中旬であったことは記憶に新しいと思います。今回の具体例で示した判定基礎期間に即して考えてみると、6月中旬から申請準備に入ったとして、実質2か月ぐらいの間に、4月・5月・6月の3か月分の申請書類を作成して提出しなければならないことになります。かなりタイトですよね。原則的な2か月以内に申請ルールとそう変わらないことがわかります。あくまでも私の推測に過ぎませんが、こうしたことを考慮して、今回さらに支給申請期限を延長したものと考えられます。1か月延長されただけとはいえ、かなり気持ち的に余裕が持てますよね。
しかし、これでホッとしてしまうのは危険です。書類が整ったら、順次申請するようにしましょう。1か月はアッという間に過ぎてしまいます。また、郵送で行う場合は9月30日必着です。この点も注意しておきましょう。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主に対する雇用調整助成金等の申請期限を延長しました〔厚生労働省リーフレット〕2020年8月25日付。