最低賃金について
各都道府県に最低賃金が設定されていますが、複数の事業場を有する会社は、どこの最低賃金が適用されるのでしょうか。例えば、本社は東京ですが、支店・営業所が、他の都道府県にあるような場合です。今回は、この疑問に答えていきたいと思います。
どこの最低賃金で判断するの?!
【事例】本社は東京都、支店が静岡県にある場合で、静岡県の支店で働くXさんの場合。なお、採用は本社で一括採用している。
この事例の場合、Xさんは、東京都の最低賃金が適用されるのか?それとも、静岡県の最低賃金が適用されるのか?という疑問が生まれると思います。この場合は、実際にXさんが勤務している場所で判断されます。したがって、Xさんは、静岡県の最低賃金が適用されることになる訳です。採用された場所ではありません。
最近、流行りのリモートワークの場合は?!
【事例】支店に所属するXさんが、リモートワークで、自宅がある神奈川県で就労している場合。
先でXさんが「実際に勤務している場所」に応じて、地域別最低賃金が適用される旨を説明しました。では、リモートワークをしている場合、実際に働く場所(自宅がある神奈川県)で判断するのであれば、Xさんは神奈川県の最低賃金が適用さるのか?という疑問が次に生まれると思います。この場合であっても、Xさんが所属する事業所が静岡県の支店である限り、静岡県の最低賃金が適用されます。
その他の注意点
派遣会社(派遣元)の場所と、派遣先の会社が違う都道府県である場合。
派遣社員のYさんが、派遣会社(東京都)に人材登録されており、静岡県にある企業(派遣先)で就労するような場合です。この場合は、実際に就労する場所で判断することに変わりありませんので、Yさんは静岡県の最低賃金が適用されます。
「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の両方がある場合。
最低賃金と一口にいっても、実は2種類存在しています。一つは、都道府県ごとに設定された「地域別最低賃金」です。こちらは皆さんに馴染みがあると思います。もう一つが、「特定の産業で就労する労働者に対しての特定最低賃金(「産業別最低賃金」とも呼ばれます)」があります。この両者が並び立つ場合、どちらを適用するのか?という疑問が生まれると思います。
この場合は、両者(地域別最低賃金と特定最低賃金)を比較し、高い方の最低賃金が適用されます。