新型コロナワクチン接種に向けて

労務管理

ワクチン休暇よりも大切だと思うこと

高齢者が優先的にワクチン接種をしている状況にあり、新型コロナウイルスに係るワクチン接種率が徐々に広がってきています。接種時期については、地域差があるようなので一概には言えませんが、大都市圏等の一部地域を除き、地方都市では64歳以下の方々の接種はまだもう少し先になることが予想されます。ただ遅かれ早かれ、間もなく私たちの元にもワクチン接種の順番が回ってくることは確かですよね。このような背景もあってでしょうか。私のところにもワクチン接種に係る労務関係のご相談が増えてきています。

一番多くいただくところでは、「ワクチン休暇について、どのように対応したらよいか?そもそも休暇制度を設けた方がいいのか?」というもの。非常に重要なご質問だと思います。接種は2回、副反応は1回目よりも2回目に強く出やすいと言われています。そして個人差もあります。体調が優れない場合は休んでもOKである旨、あらかじめ制度を設けて周知しておけば、社員の方々も安心してワクチン接種に臨むことができるでしょう。ただ、確かに休暇という視点も大切ではありますが、盲点になりやすいのが、ワクチン接種期間中の日々の業務オペレーションです。今回はこの点について考えてみたいと思います。

社員の接種時期を把握しておこう

今後、64歳以下世代にもワクチン接種券が手元に届くようになります。先に述べたとおり、接種による副反応は個人差があります。こればかりは接種してみないことにはわかりません。ただ、そうなっては困ることですが、事前に最悪の事態を想定しておくことも労務管理の視点からは大切なことです。

もし、同じ部署の社員がほぼ同時期に接種して、副反応が強く出て仕事をお休みすることになってしまったら…。誰もいない状態になってしまうため、会社の業務が止まってしまいます。そうならないために、企業としては、社員の方々に向けて、時期をズラして接種してもらえるように周知し、お願いしておくことが重要ではないでしょうか。部署ごとに社員の方々で日程調整してもらうことが望ましいと言えます。そのうえで、いつ誰がワクチン接種するのかを一覧表にしておき、副反応によりお休みしても、マンパワー不足に陥らないかをシミュレーションしておくと安心です。一般的に、接種日から約3日間のうちに副反応が出やすいと言われています。3日間程度の空白が生じても業務に支障が生じないよう、接種のローテーションが組めると良いでしょう。小規模で運営されている会社さんほど、大切になってくると思います。

ただし注意点として、会社が接種時期を強制的に指定することはできません。あくまでも社員の方々の理解を前提としての話である点はくれぐれもご留意ください。この点を踏まえて、接種時期の把握、(場合によって)接種時期の変更のお願いをしていく必要があります。

最後に、ワクチン接種を希望しない社員に対し、接種を強制することもできません。これはパワハラにも繋がり、別の労務問題に発展してしまう危険性もあります。これについては、様々なメディアを通じて言われていることですので大丈夫だと思いますが、念のため、申し添えておきたいと思います。

参考
佐藤 正欣

佐藤 正欣

SRC・総合労務センター 特定社会保険労務士。株式会社エンブレス 代表。専門は人事・労務。

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