今回は、試用期間中の給与でみられる注意点について、考えてみたいと思います。
結論から言えば…、
月給制社員の試用期間中の給与と、本採用時の給与が違う場合は注意が必要!!
ということ。
試用期間は各会社によって、まちまちだと思いますが、3か月~長くても6か月程度の期間設定をしていると思います。このときに、お試しの期間中だから、本採用時よりも下げた給与設定としている会社があると思います。もちろん、これ自体は問題ありません。
しかし、注意しなければならない点は、最低賃金を下回っていないか否かということ。ごく稀ではありますが、この辺りの確認不足によって、最低賃金を下回ってしまっていることがあります。イメージしやすくするため、下記で一例を挙げてみたいと思います。
具体例
●1か月の平均所定勤務時間が170時間の会社(場所は東京都)の場合
●基本給:200,000円(ただし、試用期間中は160,000円)
本採用時の月給200,000円であれば、時間給1,176円(200,000円÷170時間)です。これに対し、試用期間中は月給160,000円であるため、時間給941円(160,000円÷170時間)になります。都道府県により、最低時給の設定は異なりますが、東京都は2021年3月現在「1,013円」です。仮に試用期間中であったとしても、この最低賃金額を下回ることはできません。
試用期間中の給与について、本採用時の給与だけに囚われてしまい「本採用時の給与から〇%下げた額」等と考えてしまうと、具体例に示したようなケースに陥りやすいです。これを防ぐためには、雇用契約締結時、もしくは給与計算のタイミングで、試用期間中給与のチェック体制を設けておくことが大切です!
最後に今回の例は、基本給のみの設定で考えましたが、諸手当を支給する場合は、それらの諸手当も含め、最低賃金を下回っていないか否かを確認します。とはいえ、最低賃金を下回っていないかを確認するにあたり、“含めてもよい手当”と“含めることができない手当”があります。ここも注意が必要です。最低賃金を下回っていないかを確認する方法については、別に掲載しています。下記をご参照ください。
2021.03.10
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