「最低賃金」の陥りやすい誤解

労務管理

今回は、最低賃金に関し、よく見受けられる「誤解」を2つご紹介したいと思います。

(1)「時間給者」以外は最低賃金は関係ない

地域別最低賃金が「時間給」で設定されているためか、時間給で支払わる労働者のみ関係があると誤解されているケースが見受けられます。どのような給与形態(月給・日給・時間給)であれ、また、正社員・パート・アルバイト等の雇用形態を問わず、労働者に該当する方々はみなこの適用があります。

一例として、日本で多く採用されている月給制の場合で考えてみましょう。この場合、月給を1か月の平均所定労働時間数で割ることによって、月給の時給換算ができます。この「時給換算額」が、最低賃金額を下回ってしまうと違法状態と判断されます。月給制の場合は、1か月で金額が括られているため、この辺りが見えにくくなってしまいます。給与計算の時に、時間給に直して確認する機会は少ないと思いますので、くれぐれもご注意ください!

 

(2)月給制の誤解

上記(1)で触れたとおり、最低賃金を下回っていないか確認をするとき、まず月給を1か月平均所定労働時間数で割り時給換算します。このとき、単純に月給総額を1か月平均所定労働時間数で割ってしまうと、誤った処理になるケースがあるので注意が必要です。なぜなら、最低賃金を確認するにあたって、「対象にしてよい賃金・手当」「対象に含めてはいけない賃金・手当」が決められているからです。

【最低賃金の対象に含めてOKの賃金】
 ①基本給  ②諸手当(下記の“含められない賃金”に掲載した手当以外の手当)

【最低賃金の対象に含められない賃金】
 ①通勤手当 ②皆勤手当 ③家族手当 ④時間外割増賃金 など。

ちなみに、手当の名称は各社によって様々に存在すると思います。上述した手当の名称とピッタリ合致しなかったとしても、支給基準や内容が合致するのであれば同様に考えます。例えば、「皆勤手当」ではなく「精勤手当」としていたり、「家族手当」ではなく「扶養手当」としていたりするケースですね。

具体例で確認してみよう

※1か月の平均所定労働時間は170時間の会社と仮定。

基本給:  170,000円…含めてOK
皆勤手当:10,000円…含められない
家族手当:10,000円…含められない
通勤手当:  4,200円…含められない
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
総支給額:194,200円

この時、やってしまいがちなのが、総支給額で判断することです。つまり、「194,200円÷170時間≒1,142円」になるから、最低賃金はクリアしている!!と判断してしまうということです。最低賃金を判断するにあって、先で触れた対象に含めてよい賃金・手当に照らして考えると、このケースでは「基本給」しか対象に含めることはできません。

そのため正しくは…「基本給170,000÷170時間=1,000円」

東京都の場合、2021年3月現在の地域別最低賃金は、時間額1,013円とされているため、最低賃金を下回ってしまうことになるのです。

まとめ

他にも細かなところでは、陥りやすい点はありますが、特に上記で示した2つの誤解が多く見受けられます。
再度、この点を踏まえて、給与計算の際などに自社で見直されることをおススメします。

参考

厚生労働省は、最低賃金制度についてのサイトを運営しています。参考情報として、下記にリンクを掲載しておきます。こちらも合わせてご参考ください。

最低賃金制度(厚生労働省ホームページ)


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佐藤 正欣

佐藤 正欣

SRC・総合労務センター 特定社会保険労務士。株式会社エンブレス 代表。専門は人事・労務。

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