「雇用契約書」交わしていますか?!

労務管理

☆やっと出会えた!!

求人募集をかけ、採用試験や面接を重ね・・・この人物だ!と思える人に出会い採用決定!!会社としては嬉しい瞬間ですよね。

さて、この時、貴社では雇用契約書を交わしていますか?

雇用契約書までは求められていませんが、どのような労働条件で雇用するのかについて、会社側は書面で明示し労働者に通知しなければならないことになっています(労働基準法第15条)。

この書類のことを「労働条件通知書」と呼びます。

法所定の要件を満たした雛形は、厚生労働省のホームページに公開されていますので、こちらをどうぞ。

しかし、実際は書面等の交付は行わずに、結構曖昧にしてしまっている企業が散見されます。なぜだと思いますか??

 

☆企業側の立場としては・・・

まずは、堅苦しい・慣れない、それに、そんなものを作成している時間がない!
という理由が一番かもしれません。特に中小企業では。

それから、採用の段階でつまびらかに条件等々を明かしたくない。
下手に書面化して、後々にそれを根拠に労働者から詰めて来られても困るから・・・とか。

 

☆労働者側の立場としては・・・

せっかく採用が決まったのに、「労働条件を書面で」とか言って、内定を取り消されても困る・・・。労働条件にうるさい危険人物とみなされる。入社早々、変なヤツだと会社から目をつけられるのは嫌だ・・・。

こんなところではないでしょうか。

結局のところ、

  • 会社は、自社に来てもらいたい!
  • 労働者は、この会社に採用して欲しい!

内心はどうあれ、ある意味で双方の利害が一致してしまっている訳です。だから、お互いにお互いを良く見せたい!!という点が何よりも勝っている。ここが一番大きいと思います。

でも、実際に働き始めて、双方で疑義が生じた場合、立ち返るところは「労働条件通知書」になりますよね。(もちろん、就業規則等もありますが、ここでは労働条件通知書に特化して話していますので、ひとまず横に置いています)

当初の約束はどうなっていたんだろう?と。
その時にこれがないというのは、本当に困るものです。

もっとも、民法上は、口頭でも雇用契約は有効に成立します。でも、書面化されていなければ、時間経過とともに人の記憶というものは薄れていくもの・・・。

言った!言わない!!の水掛け論となって、解決に時間を要してしまいます。

そもそも、先で述べたように、労働条件の書面明示は会社側の義務とされているので、存在しないということになれば、会社は法に違反していることになります。紛争化すれば、非常に厳しい立場に立たされることにもなりますね。それに、なければないで、結局のところ法律によることになる訳ですが、いきなり法律論で話し合うことになってしまいますから、ハードルも一気に上がります。

だからこそ、最初が肝心!
お互いがお互いを良く見せたい!!と思っている時にこそ、きちんとしておきたいものです。

ちなみに、私がご相談いただく時は、労働条件通知書ではなく、もう一歩進んで、「雇用契約書」を交わしておきましょう!と常々ご提案しています。

なぜか?
労働条件通知は、会社から労働者への一方的通知に過ぎませんが、雇用契約書は、労使双方が記載内容に納得して交わした意思表示として、双方の署名・捺印がありますよね!
だからです。

そして、採用時にわかっていることはできるだけ詳細に契約書へ落とし込んでおくことも大切です。法律で要求されていないレベルの事柄であっても、双方で大切だ・重要だと思う内容であれば、入れておくことをお勧めしています。

そうすれば、トラブルは無いに越したことはありませんが、万が一、トラブルに陥ってしまった場合、これを見返せばいい訳ですから。お互いの傷が深くなる前に解決できる可能性が高まるし、長引かなければ双方の信頼が失われる危険性も低くなります。

それから、何よりも、採用段階でちゃんとした雇用契約書を双方で交わしておけば、そこで働く労働者の方が安心できますよね。ここが一番大きいのです。働いてもらう方に安心してもらうこと。この会社なら、自分の将来設計ができそうだと感じてもらうこと。

ん~曖昧にしてきたな・・・、そう思った経営者のあなた!
今からでも決して遅くはありません。今の内容を書面化して、雇用契約書を交わすようにしましょう!!


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佐藤 正欣

佐藤 正欣

SRC・総合労務センター 特定社会保険労務士。株式会社エンブレス 代表。専門は人事・労務。

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