働く人たちにとって、「雇用のセーフティーネット」とも呼ばれる雇用保険(失業保険)は、非常に重要です。そこで今回は、雇用保険の加入基準についてお伝えしたいと思います。原則として、皆さんが雇用される労働者が、次の二つの基準を満たす働き方をする場合、事業所管轄のハローワークに「雇用保険 被保険者資格取得届」を届け出る必要があります。
①週20時間以上の就労時間があること。
②31日以上の雇用期間が見込まれること。
雇用保険は正社員だけの制度ではありません。この①+②の両方の条件を満たす場合、パートタイマー・アルバイトでも加入対象です。雇用形態によるのではなく、あくまでも契約内容が、この加入条件を満たすか否かによって判断をすることがポイントです。
①について
「週20時間以上」なので、1日4時間勤務の場合、週5日間の勤務で基準を満たす(4時間×5日=20時間)ことになります。また、1日8時間勤務で、週3日間の勤務の場合(8時間×3日=24時間)も同様です。このように、20時間以上か否かを判断するにあたり、一週間の勤務する日が規則的に決まっている場合は、あまり問題になりません。
問題となるのは、シフト勤務等のように、一週間の勤務日が不規則の場合です。第1週は3日勤務、第2週は4日勤務…といったような場合ですね。このとき「20時間以上」の判断をどのようにしたらよいのか?という疑問が湧くと思います。この場合は、1か月間の労働時間で判断するようにします。すなわち、1か月の労働時間が「87時間以上」あるか否かで考えます。
なぜ87時間なのか?というと…、
87時間×12か月÷52週≒20.07時間/週
と考えるからです。
②について
採用時点において、雇用期間が暦日31日以上続くことが予定されている場合は、この基準を満たすと考えます。具体的には、次のようなケースです。
・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が31日以上である場合
・雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
・雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合 ( 注 )
[(注)当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。]
届出期限、様式
加入基準に該当する方を雇用した場合は、忘れずに届出をしておかないといけません。届出忘れがあると、後々の退職後の失業手当の給付に影響が生じ、労使トラブルになることも考えられます。次のように決まっていますので、忘れずに届け出るようにしましょう。
- 採用した日が属する月の翌月10日まで
(例)4月1日採用の場合、5月10日までに届け出るということ。 - 「雇用保険 被保険者資格取得届(ハローワークインターネットサービス)」
また昨今、増加傾向にありますが、外国人労働者を採用される場合は、これにプラスして届け出る内容があります。これについては、以前の記事に書いていますので、そちらをご参照ください。